エース社員とは
エース社員とは、「売上が高い」、「社内外からの信頼が厚い」、「人間性が良い」など他社員に比べパフォーマンスが高い社員を指します。
近年、会社を支え、引っ張っていくと期待される存在の「エース社員」が突然退職してしまうケースが増えてきていると言われています。
会社にとって重要な資産である「エース社員」が辞めてしまう会社の特徴や、辞める前兆、対策について解説していきます。
エース社員が辞める会社の特徴
はじめに、エース社員が辞める会社の特徴について解説いたします。
1. タテ・ヨコ・ナナメのコミュニケーションが少ない
組織よりも「個」が重視される時代に移り変わる今、以前に比べ会社への帰属意識が希薄になってきていると言われています。
会社に所属し続けることが当たり前ではなくなった現代において、それでもなお、社員の帰属意識を醸成するためには「タテ・ヨコ・ナナメ」の関係作りが必要です。
- タテ = 上司、経営トップ
- ヨコ = 同僚、同期
- ナナメ = 他部署の上司
エース社員が辞めてしまう会社の特徴はこうした多方向のコミュニケーションが少ないことが特徴として挙げられます。
さらに、社員同士のコミュニケーションの内容が業務内容のみになってしまっている場合、より一層帰属意識は生まれづらい環境と言えるでしょう。
こうしたコミュニケーションの方向性、質が低い組織は、エース社員が退職しやすい環境となってしまっています。
2. イノベーションへの取り組みが少ない
既成概念にとらわれずこれまでの手法から脱却したり、新規事業を立ち上げたりと、新しいことへチャレンジする風土がないことは、エース社員のモチベーションを下げてしまう大きな要因となっています。
前提として、日本経済は大きくグローバル化し、人材の流動化が年々加速しており、どの会社でも活躍できるであろうエース社員を報酬だけで留めておくことは非常に難しくなっています。
働く意味が「お金を稼ぐこと」や「安定」から「やりがい」や「自己実現」へ大きく変化した今、社内にイノベーションに対しての取り組みがあるかないかはエース社員のモチベーションに大きく影響します。
現状維持、試行錯誤がない組織にエース社員が留まる理由は少なくなってきています。
3. 評価制度が整っていない
エース社員は仕事ができるからこそ、多くの仕事を任されている傾向にあります。
また、任されている仕事だけでなく、役割が明確でない仕事に関しても積極的に処理しているケースも多くあります。
こうした、会社に対して有益な行動や姿勢など、数字以外の会社の貢献度を、しっかりと評価できているかはエース社員の定着に大きな影響を与えます。
エンバイトが2018年にサイト登録者を対象に行なった「退職を考えたきっかけ」では、エース社員が該当するであろう25〜35歳の41%が「給与の低さ」を退職理由に挙げています。
このように、仕事量に見合った評価をしっかりとできていない会社はエース社員が定着しない組織となってしまいます。
エース社員が辞める兆候
コロナ禍が生んだテレワークの文化は、人材の流動性に大きく影響しました。
場所、時間を選ばず転職活動が可能になった現代において、エース社員を定着させることは増々難しい状況になっています。
「辞めます」とある日突然退職を申し出てきたエース社員を引き留めることは非常に難しくなります。
そうなる前に、事前にエース社員の変化をいち早くキャッチできるよう、エース社員が辞める兆候について解説します。
1. 会議での発言が減った
これまで会議で積極的に発言をし、社内を巻き込んでいたエース社員が、突然何も発言しなくなった場合は注意が必要です。
何か不満に思っていること、外に出せない何かを抱えているケースがあります。
2. 業務以外のコミュニケーションが減った
これまでのコミュニケーションの質と量に変化がある場合は何かしらの不満やストレスを抱えてしまっています。
以前は、仕事以外の会話も多くしていたにもかかわらず、業務内のみのコミュニケーションへと変化した場合は、社内のメンバーに対しての信頼感の減少や会社への帰属意識は低下の現れと言えます。
3. 出社、退社時間が変わった
これまでに比べ、就業時間ギリギリに出社するようになったり、定時ですぐに退社するようになった場合は注意が必要です。
このようにエース社員の「変化」を人事や上司がいち早くキャッチできるかは非常に重要となります。
エース社員の退職による悪影響
会社を支えていたエース社員の退職は、業績に大きく影響してしまうということは容易に想像できます。
しかし、エース社員の退職の影響は業績低下だけにとどまりません。
ここではエース社員の退職が巻き起こすことの影響を解説していきます。
1. 残された社員の負担が増える
生産性の高かったエース社員が退職したことで、エース社員がこなしていた仕事を誰かが担うということになります。
必然的に残された社員への負荷は高くなってしまうことが多くあります。
それが原因で連鎖退職ということも多く見られるケースです。
2. ロールモデルがいなくなる
社員を定着させることで重要なのが、社内にロールモデルが存在するかが大切です。
ロールモデルとは、自分の行動や考え方など、キャリア形成の上でお手本になる人物のことです。
多くの場合、エース社員は部下から「こんな人になりたい」「10年後にはこの人と同じようなキャリアを形成したい」というロールモデルとして認識されていることが多くあります。
こうしたロールモデルを失ったエース社員の部下が退職してしまうことはよく起きています。
3. 会社の信頼低下
エース社員は、人間性やレスポンスの早さ、ホスピタリティーの高さから社外、取引先からの信頼も厚いケースが多くあります。
そんなエース社員を失ったということは、多少なりとも会社に対する信頼を低下させることに繋がります。
「あの人だから付き合っていた」という顧客から見切りをつけられ、売上が減ったという事例は少なくありません。
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エース社員の退職予防のための対策
これまで、エース社員の退職がいかに大きな影響を引き起こすかを解説してきました。
そんなエース社員の退職を未然に防ぐために、どのようなことができるのかを解説していきます。
1. 会社と個人のビジョンをすり合わせる
会社が実現しようとしているビジョンに対して共感し、エース社員自身の将来的なビジョンと重なっている状態であることが、働くモチベーションを高めていきます。
そのためには、経営者とのコミュニケーションも必要ですし、エース社員が会社に何を求め、どんなことを実現したいかを細かくヒアリングしていくことが重要です。
日本を代表する電気メーカーのソニーは巨額な赤字が続いていた際、全国の拠点の社員一人ひとりと1on1を実施し、社員の想いや今後のビジョンを共有し見事V字回復させたことが有名です。
このように、会社と個人のビジョンをすり合わせることは、社員が会社に「いるべき理由」を持たせることがエース社員を定着させることに重要です。
2. 積極的に成長の場を与える
エース社員に対して成長の期待感をもたせることは非常に効果的です。
優秀なマネージャーの元へ配属したり、積極的にプロジェクトを任せたりと、本人の希望に応じて求めている環境を会社が提供し続けられるかどうかはエース社員の定着に大きく影響します。
3. 人事評価を見直す
評価制度が曖昧だったり、評価に対するフィードバックが不十分であると、特に成果を出すエース社員にとっては大きな不満要素となります。
こうした不満が出ないような人事評価を組み直すことも重要ですが、どのように評価されるのか、評価に対してのフィードバックの機会を多く設けることも重要です。

エース社員を引き止める方法
最後に、もしエース社員から退職の依頼を受けた場合、引き留められる方法を解説します。
1. 退職理由を受け止める
退職の相談を受けた場合、まずはヒアリングをし、受け止めるとこに徹しましょう。
本当の退職理由を伝えるのは半数以下のというデータもあるように「本当の理由」を引き出せるかどうかが重要です。
決して会社都合ではなく、親身になって話を聞くようにしましょう。決して圧力をかけてはいけません。
2. サポートできる部分を提示する
もしヒアリングによって引き出した本当の退職理由が、会社でサポートできそうな課題である場合は、早急に改善しましょう。
部署を変えたり、評価制度を整えたり、業務量を調整したりと対応できる部分を話し合いによって解決していきましょう。
エース社員が不満に思っていること、ストレスに感じていることを繙くことは、その他社員の定着にも大きく影響していきます。
近年では、退職する社員に対して今後組織を良くするためのインタビューを取り入れている企業もいます。
【人事評価の納得感を高め、エンゲージメントを向上】
評価制度の運用のポイントは「リアルタイムフィードバック」
組織の実行力と推進力を高めるノウハウを集約。
● 目標更新の度にチーム/全社に共有され、進捗を可視化
● 全社/部門目標と個人目標を紐付かせ、貢献領域を可視化
● 1on1の実施状況が可視化され、施策の浸透度と課題を特定
● 賞賛のコメントが全社に共有され、社員の士気を向上
● 週報でコンディションを申告し、組織課題をすぐに特定
まとめ
これまでエース社員が退職してしまう会社の特徴や防ぐための方法など解説していきました。
社員定着に向け、今まで以上に、社員一人ひとりに目を向け、細かくコミュニケーションを取っていく必要があります。
もし、エース社員が退職をした場合は、今一度組織を見直すきっかけにしていきましょう。
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