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eNPSとは?意味・計算方法・従業員エンゲージメントとの関係性

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eNPSとは?意味・計算方法・従業員エンゲージメントとの関係性

eNPSの意味

eNPSとは、Employee Net Promoter Score(従業員ネットプロモータースコア)の略称で、従業員の職場や会社への愛着や信頼度を表す指標です。

これまで、人事の追う指標・KPIであった「離職率」「定着率」といった定番指標と並んで、近年重要視されつつあります。

元々は、サービスや製品に対するロイヤルティを図る、マーケティング用語「NPS(Net Promoter Score)」から派生して出来た言葉であり、従業員エンゲージメントの測定を目的としています。

近年、多くの企業では、優秀な人材を確保することが最重要課題となっており、そのための従業員エンゲージメントの向上に向けた取り組みとして注目を集めています。

従業員エンゲージメントを高めることにより、生産性を向上させるだけでなく、離職防止による優秀な人材の確保をすることができます。

離職防止については、従業員エンゲージメントの向上だけでなく、日常の業務における心がけによるところも大きいとされています。

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eNPSの算出

eNPSの算出方法は、「この企業を友人に勧める可能性はどのくらいですか?」という質問に対して、0(全く可能性がない)から10(非常に可能性がある)の指標の回答を集計する事で算出します。

eNPSの計算は数値を平均するだけではなく、回答者が回答結果に基づいて以下の3つのカテゴリーのいずれかに分類されます。

  • 推進派
  • 反対派
  • 消極派

eNPS調査が正しく機能するためには、この尺度を使用しなければいけません。

eNPSによる従業員の分類

eNPSの測定においては、推進派・反対派・消極派の分類と集計が重要な意味を持ちます。

本記事では、eNPSにおける推進派・反対派・消極派について詳しく解説します。

1)推進派

推進派は、おすすめできるかという質問に9~10点と答えた従業員のグループです。

推進派は、自社にとって最大の支持者であり、対外的なブランディングや採用活動の推進にとって大きな資産となります。

これらの従業員は、SNSや私的なネットワークの中で求人情報や自社の優れた点についてを共有する可能性が高く、会社のブランド大使となります。

2)反対派

反対派の社員は、おすすめできるかという質問に0から6点と回答したグループです。

反対派は、会社の成功の見通しに無関心なだけでなく、長期的にブランドを傷つける可能性があります。

このような人々は、「友人、親戚、知人など、聞いてくれる人なら誰にでも愚痴をこぼす」ほど不満を持っていますが、その一方で、否定的な回答者のスコアは0から6の間で出されます。

つまり実質彼らは評価基準の半分以上を占めていることにも注意しましょう。

3)消極派

消極派は、7から8点をつけたグループで、その立ち位置は受け身かつ中立です。

つまり、彼らは会社で働くことを気に入っているかもしれませんが、積極的に友人を紹介するほどではありません。

実際には、この消極派の数字は最終的な計算には含まれません。

しかし、このグループからのフィードバックを理解し、彼らを推進派のカテゴリーに移動させるために何ができるかを発見することがとても重要です

eNPSの計算方法

アンケートの回答が得られたら、回答者全体における推進派の割合から反対派の割合を引く事で、eNPSを算出します。

eNPS = 推進派の割合 – 反対派の割合

eNPSは、+100(最高)または-100(最低)の値を取ることになりますが、ゼロ以下(=マイナスの値)を記録する場合には、現状に懸念すべきだと言えるでしょう。

なお、注意点としては、受動的な回答者(消極派)はこの計算に含まれません。

eNPSの結果の評価

eNPSスコアの最悪値は100、最高値は-100です。

しかし、企業がこれらのスコアに近づくことはほとんどなく、大多数の企業にとって非現実的な理想値となっています。

一般的に、良いとされるのは0点より上のレベルですが。他社のベンチマークよりも自社のベンチマークに注目するべきです。

市場調査をして競合他社の順位を知ることはできても、その調査結果はあまり役に立たないかもしれません。

この数値によって本当に追求したい点は、現在の状況で良いスコアは何かということです。

従業員が会社を「働きがいのある会社」として推薦する可能性は、人事部ではコントロールできないものも含め、さまざまな要因に影響されますが、例えば以下が挙げられるでしょう。

  • 非上場企業と上場企業の違い
  • 事業内容やビジネスモデルの違い
  • 組織の規模や歴史のち外
  • 低成長と高成長の違い  

ベンチマーキングを行う際には、まず徹底的に自社の分析を行い、そしてそのあとにはじめて競合他社をみるようにしましょう。

例えば、異なる部門や四半期ごとのeNPSの推移を比較することで、エンゲージメントの改善点をより実践的に理解することができます。

eNPSのアンケート項目の作り方

eNPSの質問は、できるだけ従業員がアンケートで最初に目にする質問にしましょう

従業員の気持ちを正確に読み取るだけでなく、詳細なコメントを得られる可能性を最大限にしたいからです。

従業員のコメントは、企業文化の問題を診断する上で非常に重要であり、人事部やマネージャーに特に注意を払うよう勧めましょう。

アンケートの最後に設問を入れてしまうと、従業員のフィードバックやコメントという形での回答をなかなか得ることができなくなってしまいます。

また、この質問を早めに切り上げることで、他の質問が従業員の回答に影響を与える可能性を軽減することができるでしょう。

定期的なアンケート調査を実施している場合は、eNPSの質問を組み込むことも検討してみてはいかがでしょう。

毎年のエンゲージメント調査では数分かかることもありますが、この調査では数秒で完了するため、進捗状況を一貫して把握することができます。

eNPSと従業員エンゲージメントの比較・関係性

経営者は、顧客のロイヤルティを測定するための「特効薬」のようなアプローチを好みます。

そのため、NPSは導入当初、究極の質問と称されていました。

しかし、NPSは従業員の満足度やロイヤルティを測定するのに便利なツールですが、人事の専門家は、従業員のエンゲージメントを読み取るためだけにNPSを使用することに警告しています。

結局のところ、それはビジネスへの信頼の尺度であって、個人の幸福や生産性ではないからです。

その意味では、人事がリファラル採用や紹介制度の導入や更新を検討する際に、この指標を追跡することは非常に有効です。

導入企業では、eNPSを社員の「体温チェック」として活用しています。

eNPSは重要な指標ではありますが、それだけではすべてを語ることはできません

そこで、ある企業では、eNPSの質問の後に、回答者にその点数をつけるに至ったの理由を回答してもらい、その原因を深堀りして調査するようにしています。

従業員の満足度は、同僚との関係、経営陣の質、やりがいやモチベーションの高いプロジェクト、文化などの要素で構成されています。

eNPSは社員全体の風向きを教えてくれますが、それは従業員の経験の一面に過ぎません。

eNPSの作成に携わった人たちも、eNPSがエンゲージメントの直接的な尺度であるとは言っていません。

しかし、そのシンプルさから人気の指標なのです。

eNPSと他のアンケート調査を併用したアプローチ

人事は、eNPSから得られる価値を高く評価していますが、eNPSを本当に意味のあるものにするためには、より広範な従業員調査戦略の一部として用いる必要があります。

つまり、帰属意識やワークライフバランス、その他の重要な人事課題に関する質問と組み合わせる必要があるのです。

社員が毎日行っていることすべてを1つの質問にまとめるのは困難です。

エンゲージメント、キャリア開発、パフォーマンス管理、目標設定など、従業員のライフサイクルに関わるすべてのことがこの質問に関連します。

特に重視すべきは、以下の2つの質問です。

  • 経営陣の掲げるビジョンとミッションを信じていますか?
  • 会社の方向性を信じていますか?

このような質問は、満足度を超えて、従業員が職場に来る本質的な動機を語るものです。

eNPSを包括的な調査項目として捉えるのではなく、行動指針のようなものだと考えましょう。

eNPSは、あなたが乗り越えなければならない障害や危険なことのすべてを明らかにするわけではありませんが、物事の全体的な状態を把握することができます。

そのため、従業員のエンゲージメントを測る他の質問を補完するには最適ですが、代わりにはなりません。

また、さまざまな質問を試すことに加えて、さまざまな調査方法を試してみることも良いでしょう。

企業のニーズに応じて、パルスサーベイや月例アンケートなど、まったく異なる方法を試してみてはいかがでしょうか。

まとめ

ある会社では、四半期ごとにさまざまなテーマでエンゲージメント調査を実施することにしましたが、非常に良好なエンゲージメントが得られているそうです。

また、コミュニケーション、信頼、充実感に関する質問を用いることで、企業としてどこが不足していると従業員が考えているのか、正確に追跡することができます。

焦点を当てるべきは、NPSの内訳の中で消極派が言及している点についてです。

これらの従業員を推進派にまで引き上げることができる改善点を切り出すことが重要です。