2020年に流行した新型コロナウィルスは、多くの人々に「働く」という事の考えを見直すきっかけとなりました。
具体的には、リモートワークへの移行を余儀なくされ、管理職はこれまで考慮していなかった分野においてもリーダーシップを発揮することを迫られています。
危機においても、成功するリーダーは、従業員のやる気を引き出し、コンフォートゾーンを超えて従業員を成長させるための適切なタイミングとポイントを知っていると言われます。
しかし、上記に加えて、コロナ禍においてのマネージャーは、従業員に耳を傾け、共感を示すことを求められています。
人材を最大限に活用したい企業にとって、共感・理解・思いやりのある職場づくりをすることは、不可欠な取り組みであるように思われます。
また、職場における決定が公正で偏りのないものであるかどうかについての関心をもって考えなければ、最高のアイデアをもたらすことはできないでしょう。
従業員が仕事に楽しく取り組み、、高いモチベーションを発揮できるか、それとも悲惨な経験をするかは、マネージャーの手段にかかっています。
本記事では、困難においてマネージャーが発揮すべき「共感力」と困っている従業員を支援する具体的な方法について解説します。
目次
困っている従業員を支援する方法
ビジネスニーズを満たす事と従業員の困難に共感を示す事を両立する方法を身に付けるのは容易ではありません。
本パートでは、課題を抱えていたり、困っている従業員に共感を示す効果的な方法を解説します。
1)想像で物事を決めつけない
従業員とマネージャーの両方が問題解決についての道筋を見いだせず、パニックに陥ってしまうのは、最悪のシナリオであり、必ず避ける必要があります。
例えば、家庭内の問題に時間を割く必要があるメンバーが、次回のプレゼンテーションでミスをしたり、子どもが家の中にいる中で仕事をしなければならない管理監督者が上司への報告書を作成するために十分な時間を避けないといったケースが考えられるのではないでしょうか。
しかし、このようなときこそ落ち着いて行動すること重要です。
具体的には、第一に、想像や決めつけで話を始めずに、従業員の話をしっかり聞くことです。
第二に、相手に共感を示すことです。
従業員が自身の状況についてどんなことを言おうと、あなたが共感できる側面があるはずです。
相手に関心を持つことで、安心感を与えましょう。
従業員に対し、彼らの悩みの種を安心して共有できる関係性や環境をつくることは、実際に何に困っているのかを理解するための第一歩といえるでしょう。
2)耳を傾ける
従業員の悩みや不安に耳を傾け、彼らが言葉にできていないことを汲み取ることで、重要な手がかりを得ることができるはずです。
なぜなら、言葉にすることが難しいがゆえに、助けを必要としているというケースがあるからです。
問題の早期解決のために、従業員との対話では、自分が何を与えられるかを考えながら、共感を示すことが重要です。
そうする事で、上司の言葉が響きやすくなるような会話の雰囲気作りに注力しましょう。
3)従業員が積極的に参加できるように促す
従業員に次に採るべきアクションの決定権を与えることは、高いパフォーマンスを発揮する結果になることがあります。
たとえば、販売生産性が低下した四半期後に目標を再評価する場合や、特定のプロジェクトの進捗ペースを決める場合など、従業員が自分で決定できるように選択肢を提供するのです。
もし、どの選択肢も理想的ではないとしても、自分の状況について決定を下す機会を提供することは、自律性と主体性を取り戻すことに繋がります。

4)助けが必要なタイミングを見極める
リーダーである上で重要なことは、人の限界を知ることです。
うつ病や重度の不安症などの心理的な問題を抱えている人がいる場合、話を聞くのは問題ありませんが、セラピストの真似事をしてはいけません。
何年も勉強したその道のプロたちがいますので、専門家に任せることもひとつの手段です。
代わりに、専門的な機関に紹介したり会社のメンター制度の取次ぎをすることが有効なため、まずは人事部に相談を持ちかける事を推奨します。
共感的な雰囲気をつくる方法
繰り返しになりますが、困っている従業員に共感を示すことは重要です。
共感を大切にする企業文化を構築することで、会社全体を強化できるとも言えます。
本パートでは、手法を3つご紹介します。
1)期待を明確に示す
期待と目標を明確にすることは、生産性向上のための最善策であるだけでなく、物事が計画通りに進まないときでも前進するための重要な役割を果たします。
このような場合、客観的かつ測定可能な目標の基準値を持っていることが重要です。
そうすれば、マネージャーと従業員双方が現状を把握し、問題について定期的に話し合うことが可能となり、目標達成の可能性をより高めることができるでしょう。
また、従業員に明確な基準を与えず、例外を多く設けることは従業員に不利益を与えることもあるので注意が必要です。
期待と共感のバランスを保つための最初のステップは、公平で明確な目標達成ラインを共有することです。
2)協力的な姿勢を示す
従業員が目標を設定する際に肯定的な言葉で応援することは、従業員を仕事に集中させるのに効果的であり、たとえ物事がうまくいかなくても、良きパートナーとして励むことができます。
最初から期待を押し付けるのではなく、「2021年に私があなたに期待することはこれです」というように、マネージャーが従業員と目標を共同作成し、シェアすると良いでしょう。
あなたのここでの重要な役割は、以下についてしっかりと議論を行うことです。
- 目標に対して明確な道筋がたてられているか
- 障害となりうる可能性があるもの、起こりうるトラブルは何か
そうすれば、問題が発生した場合でもマネージャーと従業員の両方が実行可能な解決策を考え出すのに役立つこととなります。
3)危機のときだけでなく、常に共感を示す
職場で共感を示すというのは、物事がうまくいかないときにだけでは意味がありません。従業員の日々の活動において実践することに意味があります。
共感的なリーダーシップには、従業員にとって期待と仕事量が高すぎる場合も、もちろんありますが、反対に、期待と仕事量が不十分という可能性もあります。
従業員の立場に立つことができるマネージャーは、チームメンバーの才能とスキルを活用して、彼らと雇用主の両方にとって最善の結果を得る方法を見つけることができるのです。
効果的な共感的リーダーシップとは、従業員の可能性を最大限引き出し、情熱を持てる領域を見つけ、その領域に向けて仕事を方向付けることでもあります。
従業員の仕事を彼らの視点から見ることで、仕事に真剣に取り組んでいる彼らがもっと一生懸命働きたいと思う役割を作り出すことができるのです。
まとめ
2020 年の新型コロナウィルスの流行は、マネージャーに、そして世界全体に共感、思いやり、理解がどれほどの重要性を秘めているかを明確にしました。
しかし、新型コロナウィルス終息後、職場が元の状況に戻ったとしても、これまで学んだ教訓がすべて忘れ去られてしまうわけではありません。
新型コロナウィルスの経験を通して、多くのリーダーが共感の重要性に気づいたことと思います。
共感のあふれる空間は外から見ていても心地いいものであり、私たちの成長、そして何よりビジネスの成功へのカギとなるものである事を念頭に置いておく必要があるでしょう。