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オンボーディングとは?意味・目的と流れ・プロセス設計のポイント【事例付き】

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オンボーディングとは

オンボーディング(on-boarding)は飛行機や船に乗っている状態のon-boardの派生語であり、これは新しいクルーや乗客に慣れてもらうための必要なサポートをするプロセスを意味します。

近年オンボーディングは、主にIT企業のシステム導入の際に顧客の定着までのサポートをし、満足度を高めて解約を防ぐ一連のプロセス(カスタマーサクセス)として使われることが増えてきました。

今回取り上げるのは人事の分野で使われている、新卒/中途社員のジョイン時や新人マネージャーを適切な部署に配属し、その部署で戦力化するための一連のプロセスを意味するオンボーディングです。

なお、リモートワークの浸透に伴い、遠隔でオンボーディングを行うケースも一般化しつつあります。

リモートワークにおけるマネジメントやコミュニケーションのポイントは下記をご覧下さい。

オンボーディングの目的・メリット

欧米の企業ではすでに多くの企業がこのオンボーディングを取り入れていますが、日本でもOJTという形で新人教育を行っている企業が多いのではないでしょうか。

オンボーディングは新人教育に止まらず、既存メンバーとのコラボレーションにより企業の生産性を高めることが目的となっています。

1)新入社員の即戦力化

新入社員の戦力化には約半年かかると言われています。

オンボーディングにより早期に即戦力化できることで企業側には業績の向上新入社員側には早期に成功体験を得られることで企業へのエンゲージメントの向上が期待されます。

2)早期離職防止

終身雇用、年功序列の時代は終わり、約10%の新卒社員が1年で転職する時代となりました。

早期離職は採用コスト面も大きいですが、離職者の周囲のモチベーション低下にも繋がり、企業全体のエンゲージメント低下を招きやすくなります。

入社後90日間のフォローアップがその後の定着率に影響すると言われており、オンボーディングではいかに初期に適切な対応ができるかがポイントとなります。

3)業務効率化

オンボーディングの目的は、新規メンバーに会社に慣れてもらうculture fitの文脈だけではなく、新規メンバーが新しい文化や体制を作っていくculture addの文脈を含んでいます。

既存のメンバーが気づかない点を新規メンバーの視点や経験で改善していくことが期待されます。

オンボーディングが注目される背景

近年オンボーディングに注目が集まっている背景として、早期の離職率増加が挙げられます。

せっかく採用した人材が早期に離職してしまっては、会社としても大きな機会損失となります。

さらに、最近では新型コロナウイルスの影響により、オンラインで研修を進める企業も増加しました。オンラインでの研修は、新入社員にとって会社の雰囲気が掴みにくくなってしまいます。

オンラインでの研修でも、新入社員にいち早く会社に馴染んでもらえるよう、オンボーディングを設計しましょう。

オンボーディングプロセスの設計ポイント

オンボーディングプロセスを考えるにあたり、意識するべきポイントがわからない方もいるのではないでしょうか?

オンボーディングプロセス設計の際に意識するべきポイントは以下の通りです。

  1. 準備
  2. 人間関係
  3. 期待値
  4. 学び
  5. 成果

本パートでは、上記のオンボーディングプロセス設計のポイントについて解説します。

1)準備

Google社の社内調査によると、入社初日に受け入れ体制を整え準備しておくことで入社から3ヶ月以内のパフォーマンスが30%向上したという結果が出ています。

人事担当者は入社が決定したら安心ではなく、入社するその日の受け入れ体制を現場任せにせず一緒に整えていく必要があります。

2)人間関係

人間関係を理由とする離職は後を絶ちません。

後から入るメンバーにとって既存メンバーの出来上がった関係性に入り込むには勇気が必要ですし、不安要素にもなります。

メンバーの一覧表を作成し、誰がどの部署でどんな役割なのか、どんなキャラクターの人なのか、事前に共有できる資料があると良いでしょう。

また迎え入れる既存メンバーの温かい支援と居場所の提供ができるようフォローが必要です。

メンター制度の導入やウェルカムランチ、飲み会の設定など積極的な支援が求められます。

3)期待値

想像していた仕事ができなかったというのも離職理由の上位に入ってきます。

予め、会社が新入社員に求める成果や将来的な可能性についての期待値を調整しましょう。

特に採用時に無理をして期待値を上げすぎてしまった場合は、早いうちに調整が必要です。

困っていることはないか、期待とのズレは発生していないか確認するためには1on1が有効です。

4)学び

新入社員にいかに効率的にたくさんのことを吸収してもらえるかがポイントです。

業務内容や業務フロー、専門知識にとどまらず、社会人マナーや会社のルール等学んでもらうことは多岐に渡ります。

Off-JTとOJTを組み合わせ、学びの機会を提供します。

盲点となりやすいことは、事務系処理の仕方や物品の所在地、人の名前等基本的なことに時間がとられてしまうことです。

社内wikiを整備し、効率的に学んでもらえるような体制を整えましょう。

5)成果

PDCAの高速回転により早期に成果が得られるようフォローアップします。

まずは、目標管理から始め、長期目標と短期目標を設定します。

それを達成するための具体的なマイルストーンを置き、PDCAを回します。

新入社員には始めから一人でPDCAを回すのは難しいので、どこで止まってしまっているか確認しながらフォローアップが必要になります。

特にマネージャーや先輩社員からの適切なフィードバックが成長を促進するでしょう。

オンボーディングプロセスの流れ

オンボーディングを実施するには、入社前から取り組みを始める必要があります。

本パートではオンボーディングを入社前から入社後の流れに分けて解説します。

1)入社前

まず、入社前のオンボーディングの流れについて解説します。入社前の流れとしては、下記のチェックリストを確認してみてください。

・日程調整

入社前は、社内と社員の予定を合わせた日程調整を行う必要があります。

  • 雇用契約書を用意する
  • 入社日、入社時間、勤務時の服装のルールなどについて新入社員に案内する
  • 定期的なミーティングに参加するように社内調整する
  • 新入社員に最初に任せる仕事を用意する

・配属/社内調整

次に、配属などの社内調整を行う必要があります。

  • メールアカウントを作成する
  • 業務の関連部署や業務に関連するキーパーソンとのミーティングを最初の数週間の間に設定する
  • 初日と最初の1週間、社内の適切な先輩社員や教育担当とのランチを設定する
  • 教育担当を選ぶ
  • 教育担当とミーティングをし、情報提供やアドバイスを行う
  • 社内を案内するツアーを設定する

・環境調整

次に、社内の環境調整をする必要があります。

  • ウェルカムレター
  • 担当業務の仕事内容の説明
  • 組織のミッションやビジョン
  • 社内の問い合わせ先の内線リスト
  • 職場を掃除しておく
  • ネームプレートや名刺を発注する
  • 関連するメールリストに追加する
  • パソコンやiPadなど必要なものを用意する
  • 社内システムにアクセスできるようにしておく
  • 電話を設定する

2)入社当日

入社当日に行うべきオンボーディングの流れは以下の通りです。

  • 1週間のスケジュールを明確に伝える
  • 組織の説明をする
  • 仕事内容の確認と、期待を伝える
  • 1年間の休暇や休日、有給の取り方、残業時間などについて説明する
  • 職場の同僚に紹介する
  • 教育担当と顔合わせをする
  • 一緒に昼食をとる
  • 社内を案内する

3)入社後

入社後に行うべきオンボーディングの流れは以下の通りです。時期ごとに実施すべき内容が異なるため、細かく区切りながら解説します。

・1週間目

入社後、1週間目で行なうべきフォローは以下の通りです。

  • 最初のミーティング、研修、仕事を設定する
  • 部署や組織が目指す目標や提供したい価値について説明をする
  • 年間計画と各業務の今までの達成・進捗状況を説明する。
  • 主任やリーダー職など組織のキーパーソンとの面談(または昼食)を設定する
  • パソコンや携帯など、仕事に必要なものがきちんと機能し、社内システムなどの使い方を理解しているか確認する

・1か月目まで

入社後、1か月目で行なうべきフォローは以下の通りです。

  • 定期的な1対1の面談を設定しておく
  • 毎日適切なフィードバックを行う
  • 新入社員からの質問にはいつでも答えられるようにしておく
  • マネジメントシステムや評価システムを説明する
  • 今期の目標設定を行い、更なる仕事を与える
  • 関連部署のキーパーソンに新入社員を紹介する
  • 教育担当とも面談を行い、疑問・懸念点の解消に努める
  • 必要な研修を受ける

・3か月目まで

入社後、3か月目で行なうべきフォローは以下の通りです。

  • 3か月の振り返りを行う
  • 定期的な1対1の面談を続ける
  • 少しずつ難易度の高い仕事を任せる
  • ランチに誘い、仕事に関係ない雑談をする

・6か月目まで

入社後、6か月目で行なうべきフォローは以下の通りです。

  • 6か月の振り返りを行う
  • 今後の目標設定を行う
  • 関連部署以外の活動に参加する機会をつくる
  • 教育担当のフォロー期間終了
  • 最後に6か月間どうだったか、どんなことが役に立ったかを確認する

・6か月目〜1年目まで

入社後、6か月から1年目で行なうべきフォローは以下の通りです。

  • 新入社員の成果を評価する
  • 日々のフィードバックは続ける
  • 入社から今までの職場、仕事、環境の変化における心境の変化を確認
  • 入社前に期待していたことと現状のギャップの有無の確認
  • 今後やりたいと思っていることの確認

オンボーディングの事例

オンボーディングを進めるにあたって、オンボーディングで人材定着に成功した他社の事例をぜひ参考にしましょう。

  1. 株式会社Voicy
  2. 株式会社Studist

本パートでは上記の企業におけるオンボーディングの事例を解説します。

1)株式会社Voicy

オンボーディングの事例1つ目は、株式会社Voicyです。

株式会社Voicyでは、オンボーディングの効果により、離職率67%から9%まで減少させることに成功しました。

具体的な取り組みとしては、採用の入り口管理を強化する「エントリーマネジメント」です。

募集や、採用の段階から「募集する背景、具体的な仕事内容や給料、募集チームの概要、上長やチームメンバーの人柄」を詳しく記載します。

採用後は、入社前でもスラックに招待し、チームのやりとりを公表させるなどしてチームの雰囲気を伝えます。

そして入社前と入社後で計4回オンボーディングに関する評価をつけてもらい、評価が低かった場合には本人にヒアリングし、悩みを払拭しています。

これら一連の取り組みにより、入社前と入社後でミスマッチが起きにくくなり、大幅な離職防止につながったと言えるでしょう。

2)株式会社Studist

オンボーディングの事例1つ目は、株式会社Studistです。

株式会社Studistは、オンボーディングの取り組みを強化し、離職率を5%以下で維持させることに成功しています。

具体的な取り組みは、個人のwillと会社のmustを継続的にすり合わせることです。

採用サイトで発信を続け、採用時には「マッチングインタビュー」で候補者と会社のニーズの適合性を確認しています。

入社後は、「ポートフォリオ研修」や1on1を通して個人のwillと会社のニーズのすり合わせを行い続けています。

さらに、個人のwillが実現する仕組みとして、希望職種を体験できる「社内留学制度」を実施しています。

これら一連の取り組みで、個人のwillが実現することを重要視したことで、会社への定着率が上昇しました。

まとめ

オンボーディングは、新入社員が会社に慣れるためだけのものではなく、新入社員の加入により企業がより一層生産性を上げるための取り組みです。

オンボーディングを成功させるためにはある程度型化された資料やOff-JTと個人の特性に合わせたOJTや1on1支援が必要になります。

オンボーディングが成功できると新入社員の即戦力化だけでなく、早期離職の防止や業務改善に繋がります。

そのために必要な準備を人事担当者が現場と協力しながら整備していく必要があります。

準備が十分かどうか、チェックリストに沿って確認してみましょう。

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Co:TEAM(コ・チーム)とは、組織に発生する「仕事への認識」のズレを可視化、注力すべきポイントを明確にすることで最適なコミュニケーションを可能にする、「プレイングマネジメント支援」サービスです。

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