部下を育成する時のポイントとは?育成の手順・導入すべきフレームワーク

目次
部下を育成する時の4つのポイント
部下を育成するときに抑えるべきポイントはたくさんあります。
本パートでは特に重要とされるポイントを4つ紹介します。
1. 部下の考えを受け入れる
1つ目のポイントは相手の考えを受け入れるということです。
自身の考えとは合わない部下を育成しなければならない場面もあるでしょう。
しかし、仕事の進め方や考えは人それぞれ異なります。
相手のやり方を否定したり、頭ごなしに強要するのではなく、その人に合ったやり方を模索してみましょう。
たとえ、間違った手段をとっても、その手段取った理由を聞き、相手の考えを聞きましょう。
2. 感情的にならない
2つ目は感情的にならないということです。
苦労して教えたのに何回も同じミスをされると少なからず怒りや落胆の感情をぶつけたくなる時もあるでしょう。
しかし、指導する立場の人間が感情的になっては適切な指導はできません。
そんな時は、「怒る」のではなく「叱り」ましょう。
相手のやったことに対して指導者という立場から正しい道へ導くのです。
3. 相手の立場にたった指導をする
3つ目は相手の立場にたった指導をするということです。
指導に熱が入るあまり相手が見えなくなり、自分本位な指導をしてしまうことがあります。
今、相手はどんな心理状態なのか?何を望んでいるのか?指導において不満はないか?など、常に相手の立場に立って考えながら指導しましょう。
人によって指導ペースを変えるなど杓子定規な指導にならないように注意しましょう。
4. 自身の指導者としての能力を把握する
4つ目は自身の指導者としての能力を把握するということです。
指導者といえど万能ではありません、できることとできないことがあります。
指導者として最低限できていなくてはならないこともありますが、できないことについては見栄を張らずに割り切りましょう。
つまり、指導者としてできないことがあったとしてもかまわないのです。
スポーツの世界でもコーチよりも選手がうまいことはよくあります。
大切なのことは指導者としての視点をもって臨むことです。
育成過程で踏むべき6つの手順
育成には必要な手順があります。
育成に必要とさせることをただ実施すればいいというわけではありません。
本パートでは育成過程において踏むべき手順を6つ紹介します。
1. 信頼関係の構築
1つ目の手順は信頼関係の構築です。
指導において相互の信頼は重要です。
指導者の言ったことを信じてついていく、部下の能力を信じて実践させてみる、相互に信頼があってこそ成長が見込めます。
そのためには、相手の話を聞くだけではなく、こちらからアプローチをかけるようにしましょう。
効果的な信頼関係構築の手段に1on1があります。
1on1を実施することで些細な悩みから中長期的なキャリアの相談まで幅広く共有できるので信頼関係の構築に有効です。
1on1の効果の最大化のためにはツールの利用が有効です。1on1管理ツール・システムの比較については以下の記事をご覧ください。
2. 特徴の把握
2つ目の手順は部下の特徴の把握です。
指導役として様々な特徴を持った部下を受け持つことがあるでしょう。
能力差、やる気の有無、得意分野など、人それぞれ異なるのが普通です。
相手の特徴をより早くつかむことでその人に合った指導法を執ることができます。
適切な指導法を選定しないと期待した成長が見込めないことがあるので、指導中のコミュニケーションを通して相手の特徴をつかみましょう。
部下の能力や特徴を把握し、データベース化することにおいてはタレントマネジメントの考え方の導入が有効です。
3. 相手のレベルを見極める
3つ目の手順は相手のレベルを見極めることです。
育成とは順序立ててレベルを上げていくものです。
レベルに見合わない指導をしてしまうと、退屈に感じてしまったり、理解が追い付かずパニックに陥ってしまうこともあります。
相手のレベルを見極め適切なレベルの指導ができるように心がけましょう。
事前にアンケートや試験を実施することである程度のレベルを把握しておくことも有効でしょう。
4. 目標の共有
4つ目の手順は目標の共有です。
育成を通して到達すべき目標を把握できないと、目的意識がなくなり、モチベーションの低下につながります。
相互で目的を共有することで、連帯感が芽生えより良い成長が見込めます。
また、最終的な到達目標だけでなく、ステップごとに目標を設けて小さな達成感を得ることも有効でしょう。
全社的な目標から個人の目標にブレイクダウンし、全社的な共有も有効であるOKRの導入を検討してもよいでしょう。
OKRの管理を効率化・改善するツール・システムについては以下の記事をご覧ください。
5. 的確なフィードバックを行う
5つ目の手順は的確なフィードバックをすることです。
育成が進み順調にレベルが上がっても、それが評価されないと自身の成長に疑問を持ってしまいます。
育成の成果が見えた時には適時のフィードバックを与えましょう。
与えたフィードバックがきっかけとなって急成長することも期待できるので、適切なタイミングと言葉でフィードバックしましょう。

- フィードバックとは?なぜ部下育成において重要なのか?
- フィードバックをする上で注意すべき4つのポイントとは?
- フィードバックに抵抗感を示すパターン別部下の対応法とは?
- 上司がフィードバックする上で持つべきマインドセットとは?
>>【無料】部下の育成のためのフィードバックに必要な上司のマインドセットと対応法をダウンロードする
6. 適切な言葉を投げかける
6つ目の手順は適切な言葉をかけることです。
フィードバックは成果や結果に対して与えるものです。
育成過程にある人材は模索しながら成長していくので適宜声をかけながら目標へ導く必要があります。
しかし、必要以上に声をかけるとおせっかいに感じられたりしてしまうのでタイミングは見計らいましょう。
部下自身に考えさせることも育成の一つということを忘れてはいけません。
導入すべき3つのフレームワーク
人材の育成にフレームワークはとても有効です。
本パートでは人材育成において有効なフレームワークを3つ紹介します。
1. 70:20:10フレームワーク
1つ目は「70:20:10フレームワーク」です。
70:20:10フレームワークは人材育成の分野でメジャーなフレームワークです。
人間の学習は70%の現場の経験、20%の社会的な他社とのかかわり、10%の公的な学習によって構成されると言われます。
このフレームワークはOJTを中心とした育成に有効です。
OJTでは補いきれない部分を、20%は先輩や同僚の話から、10%は研修などで補完できるように育成プログラムに組み込みましょう。
OJTやオンボーディングの効果を上げるツールの比較・紹介については以下の記事をご覧ください。
2.カークパトリックモデル
2つ目は「カークパトリックモデル」です。
カークパトリックモデルは研修成果の評価を、「レベル1:反応」、「レベル2:学習」、「レベル3:行動」、「レベル4:成果」から成る4つのレベルで判断します。
研修の成果を段階毎に評価できるのが特徴です。
ステップごとの評価によって工程レベルで適切な育成が行われているか確認するのに役立ちます。
3. SMARTの法則
3つ目は「SMARTの法則」です。
SMARTの法則はOKRやMBOの目標設定時にも使われるフレームワークとして知られています。
SMARTの法則は目的達成のためには5つの成功因子が必要であることに着目したフレームワークで、その使いやすさから多くの企業で採用されています。
必要とされる成功因子は以下の5つです。
- Specific(明確性):目標に明確性や具体性があるか
- Measurable(計量性):目標の達成率や進捗度が測定可能か
- Assignable(割り当て設定):役割や権限が適切か
- Realistic(実現可能性):現実的な目標を設定しているか
- Time-related(期限設定):期限を設けているか
5つの成功因子を目標設計の段階から取り入れることで目標達成が容易になります。
また、行動目標に照らし合わせることでPDCAサイクルにはまることも使いやすいとされるポイントです。
フレームワーク導入の2つのポイント
フレームワークは非常に便利で有効なツールです。
本パートではフレームワークを導入する上で抑えるべきポイントを2つ紹介します。
1. 適切なフレームワークを選定する
1つ目のポイントは適切なフレームワークの選定です。
フレームワークにはそれぞれ適したシチュエーションがあります。
それぞれの特徴を理解し、最適なフレームワークを導入しましょう。
本記事で紹介した三つのフレームワークに焦点を当ててみると、OJTが中心の育成ならば70:20:10フレームワークが最適と言えるでしょう。
また、講義形式での育成が中心ならば、コマ割りで区切ることができるのでカークパトリックモデルが有効です。
SMARTの法則は汎用性が高いので上記の二つのフレームワークと組み合わせても効果は期待できます。
2. フレームワークに頼りすぎない
2つ目のポイントはフレームワークに頼りすぎないことです。
フレームワークはあくまでも枠組みであり、すべてを決定付けるものではありません。
大枠としてフレームワークを活用し、細かな内容は自社の内情に沿ったものを考案しましょう。
また、どんなものにもイレギュラーは発生します。
部下の育成においてもフレームワークに収まらないからといって、無理に型にはめる必要はありません。
臨機応変に対応できるように事前に準備しておくことも重要です。
まとめ
本記事では部下を育成するポイント、手順、導入すべきフレームワークについて述べてきました。
部下の育成は企業にとって重要な仕事の一つです。
将来を担う部下を育成することで企業自体の成長に繋がります。
部下育成の効果の最大化のために1on1の充実化や目標管理を行うことも効果的です。2つを有機的に組み合わせてパフォーマンスを最大化させる「Co:TEAM(コチーム)」については以下からご覧ください。