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コンピテンシー評価の具体事例4選|具体項目・評価制度の活用

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コンピテンシー評価の具体事例4選|具体項目・評価制度の活用

コンピテンシー評価・コンピテンシーとは

コンピテンシーとは「ハイパフォーマンスを発揮する人材の行動特性」と定義され、ハーバード大学のマクレランド教授が1970年代に提唱した人事管理の概念です。

すなわち、コンピテンシー評価とは、ハイパフォーマーはどのような行動特性を持っているかに着目し明確にしたものをモデルとして確立させ、評価の基準にする評価法をコンピテンシー評価と言います。

彼の研究では高い業績を残す人材は学歴や知識などに関係なく共通した行動傾向(=コンピテンシー)があることを明らかにしています。

コンピテンシー評価の具体例

コンピテンシー評価が具体的にどの企業でどのような形で採用されているのでしょうか。

本パートでは4つの企業のコンピテンシー評価の具体例を紹介します。

1. 楽天グループ株式会社

楽天グループ株式会社は「楽天市場」などのECサービスや、「楽天カード」、「楽天銀行」といったフィンテックサービス、さらに昨今では「楽天モバイル」でのモバイル事業参入などITにおける多方面での事業展開を行っている会社です。

楽天グループ株式会社では「楽天主義」と呼ばれる「ブランドコンセプト」と「成功のコンセプト」を主軸とするコンピテンシーを評価基準の一つにしています。

ブランドコンセプト

  • 大義名分
  • 品性高潔
  • 用意周到
  • 信念不抜
  • 一致団結

成功のコンセプト

  • 常に改善、常に前進
  • Professionalismの徹底
  • 仮説→実行→検証→仕組化
  • 顧客満足の最大化
  • スピード!!スピード!!スピード!!

明確にされたコンピテンシーを企業全体で共有することで、企業内の意識や価値観を統一することを目指しています。

その背景として、海外進出を進める過程において、様々な企業が楽天グループに参入し、同じ方向を見て経営をする必要に迫られたことが挙げられます。

この「楽天主義」により世界的に事業を展開するフェーズにおいても全社的な意思統一がなされています。

2. 富士ゼロックス

富士ゼロックス株式会社は企業向けの大型の複写機、レーザープリンター等の製造販売に加え、これらのコア技術を活用した総合文書管理ソリューションコンサルティングを提供している企業です。

富士ゼロックスでは1999年に管理職以上を対象とした職能資格制度を廃止し、役割などを基準とする仕組みに変更する人事制度改革がありました。

経営戦略などに基づいて役割(使命・責任・権限など)を設定し、その役割につくための条件をコンピテンシーを用いて明確にしました

「コンピテンシー辞書」と名付けられ明示されたコンピテンシーは、共通コンピテンシーとして全社員にも読める内容と以下に挙げる専門コンピテンシーと呼ばれる二項目から構成される。

専門コンピテンシー

  • 技術系
  • SE系
  • サービス系
  • 事務系
  • 営業系
  • スタッフ系

コンピテンシーを用いて役割につくための条件を明確にすることで人材の適材適所の配置が可能となりました。

3. 凸版印刷株式会社

凸版印刷株式会社は世界最大規模の日本の印刷会社です。

昨今では、従来の印刷だけでなく、印刷技術を応用したデジタル画像処理やエレクトロニクス製品にも力を入れており、カラー液晶に使用される液晶カラーフィルタ、半導体製造の原板となるフォトマスクも取り扱っています。

凸版印刷株式会社では全社員を対象に会社独自のコンピテンシーを定めています。

企業が求める行動特性をもとにしたコンピテンシーは社員が目指すべき目標にもなるので非常に有効です。

そのコンピテンシーは

  • お客様からの信頼
  • 事業基盤の強化
  • 社会的責任の遂行
  • 組織力の強化
  • 企業価値の向上

という5つ価値ある行動として定められています。

また、凸版印刷株式会社ではコンピテンシーを明示するだけでなく、それを実践するために必要な力を社員に身に付けさせるための階層別の研修を人事制度に盛り込んでいます

具体的には以下に挙げる7つの階層ごとに研修を設け、それぞれの階層で求められるコンピテンシーを明示しています。

  • 新任本部長研修
  • 新任部長研修
  • 新任管理者研修
  • 新任監督者研修
  • OJTブラザー・シスター研修
  • 新入社員研修
  • 入社前研修

4. 豊田市

豊田市は愛知県北部に位置するトヨタ自動車の企業城下町です。

豊田市では管理職のコンピテンシーを定め、マネジメント業務のPDCAサイクルと連動させています。

具体的には人材アセスメント、役職者のマネジメント、部下による上司診断の三つに対してコンピテンシーを適用しています。

さらに、「頑張った者が報われる」というフレーズを実現するためにジョブ・デザイン研修を通して自分の適性を知る機会を設けています。

コンピテンシーは行動特性により示されるので同じ行動をすればコンピテンシーモデルが出した結果に近いものが出せると考えます。

しかし、同じ行動をとったにもかかわらず同じ結果が得れなかったときはPDCAサイクルに当てはめて行動分析をします。

このようにコンピテンシーは実際の行動を必要とするのでPDCAサイクルと相性がいいのです。

コンピテンシーの6つの項目例

1. 自己理解力

1つ目は自己理解です。

社会人として自身の能力や周囲への影響を理解することはとても重要です。

自身の特性について理解をしておけば仕事を進める上でとても有利になります。

さらに、自己分析という行動はコンピテンシーモデルに採用するのに適した行動と言えます。

自己理解力の把握の方法として自己評価シートと他者評価シートの併用が挙げられます。

二つの評価シートの結果を比較することで他者からの評価と自己評価の差が浮き彫りになるので自己理解度を測る有効な手法と言えます。

2. コミュニケーション能力

2つ目はコミュニケーション能力です。

業務を進めていく上でコミュケーションは欠かせないものです。

コミュケーションを適切に取ることは行動特性として重要な項目です。

また、コミュニケーション能力は自身の考えやアイディアをアウトプットするだけではなく、他者の考えをインプットし、総合的に考える能力を内包していることを忘れてはいけません。

これらの能力を測るには実際に初対面の人の前でプレゼンテーションをしてもらうことが有効です。

面識のない人に自分の言いたいことをどれくらい伝えられるか、相手からの質問にどれだけ適切に返答できるかを評価するとその人のコミュニケーション能力の指標となるでしょう。

3. チャレンジ精神

3つ目はチャレンジ精神です。

あらゆることにチャレンジする精神は社会人として大きく成長するきっかけを与えてくれます。

現状に満足することなく成長を続けようとする姿勢は他の社員にもいい影響を与えることでしょう。

コンピテンシーモデルとして他者からも見習いたいと思える行動は非常に有効です。

チャレンジ精神の測定としては2重ノルマの設定が有効です。

通常の達成すべき目標とさらに高いチャレンジ目標を定め達成を目指すのです。

事前に目標達成のためのプロセスを明確にしておけばコンピテンシー評価と成果の評価の二つでバランスよく評価することができます。

4. 業務遂行力

4つ目は業務遂行能力です。

業務遂行能力はコンピテンシーモデルとなる項目の代表格と言えます。

ハイパフォーマーの業務遂行能力はコンピテンシーモデルにそのまま採用できます。

ハイパフォーマーがどのように業務を進めているか、すなわち、高いパフォーマンスで業務を進めるにはどんな行動が必要かをコンピテンシーモデルとすれば良いのです。

ハイパフォーマーの業務遂行の工程をリスト化するなどして明確化することでコンピテンシーモデルとしての具体性が高まります。

業務を遂行する上でどれだけリスト化した項目に沿って業務遂行をしているかを評価の基準にすればコンピテンシー評価の項目として効果的でしょう。

5. 情報処理能力

5つ目は情報処理能力です。

情報の扱いは「収集」、「整理」、「取捨」、「発信」の4つがあります。

適切に情報を処理する能力は業務をすすめるためだけではなく、自身の成長にも寄与します。

その都度で情報をラベリングするなど、適切に扱う能力は行動特性として業務上重要と言えます。

6. 統率力

6つ目は統率力です。

組織で業務を行う際には統率力も重要になってきます。

この項目はチームリーダーや管理職に求められるコンピテンシーです。

統率力はチームを率いるリーダーシップだけでなく、適切に業務を割り振る管理能力なども必要とされます。

統率力の評価としては360度評価が有効です。

360度評価を用いてどれだけコンピテンシーを満たしているかを多段階で評価してもらうことでで評価内容の客観性が担保されます。

コンピテンシー評価の3つの活用例

本パートではコンピテンシー評価がどのような場面で活用できるかを3つ紹介いたします。

1. 成果主義の補完制度として有効

昨今では成果主義が主流となっており、成果を出すための過程にはあまり評価の目が向かないことがあります。

コンピテンシー評価を採用することで成果に至るまでの行動や思考といった部分の評価基準とすることができます

成果までのプロセスを評価に加えることができるため、企業が求める人物像や、理想とされる従業員増の統一化が図れるメリットはあります。

2. 採用面接に活用

2つ目は採用面接に活用することです。

コンピテンシーモデルは企業が必要とする人材をモデル化したものなので志望者の話を聞き、自社のコンピテンシーに適しているかを判断することができます。

また、志望者から話を聞くだけでなく、企業として理想の人材について発信することで採用のミスマッチを防ぐこともできます。

3. キャリア開発に適用

3つ目はキャリア開発に適用できるということです。

社員がどのような行動ができる人物になりたいかを具体的に考えた時、身近な人がいればその人はコンピテンシーモデルになりうる人物と言えるでしょう。

他者から目標とされる行動特性を有する人物を見つけ、コンピテンシーモデルの参考にすることで目標が身近にできるので成長意欲にもつながります

まとめ

本記事ではコンピテンシー評価の具体例、具体的項目、活用例について紹介してきました。

コンピテンシー評価は行動を基準にした評価法なので、成果を出しづらい業務だったり、行き過ぎた成果主義評価への対策に有効です。

また、コンピテンシー評価は評価の主軸にも補完的な役割もこなせる評価法です。

本記事を参考にコンピテンシー評価を導入してみてはいかがでしょうか。

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