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1on1は本当に意味があるのか?第一人者が語る「悪い1on1」の特徴・起こる原因・対策

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1on1は、部下の業務・精神的支援を強化する手段として現在非常注目を集めている人事制度です。

一方で、1on1は一見業務とは関係のない「対話」という体裁を取ることから、その効果について疑問を持たれている方も少なくないのではないでしょうか。

実際に、1on1を導入したものの、運用の実態は「業務の進捗確認」や「数値の詰め」がメインとなっており、1on1の本来のポテンシャルを開放仕切れていないケースも少なくありません。

本記事では、1on1やコーチングに8年以上従事され、現在は経営者や管理職向けのセッションを行われている星野さんに「本当に1on1は意味があるのか?」という問いに始まり、「悪い1on1」の特徴から対策までお伺いした内容を紹介します。

【プロフィール】
株式会社INDEE Japan 取締役 組織開発・事業開発ディレクター
株式会社iBRIDGE 代表取締役
星野 雄一

大手製造業を経て、IT企業でSCMコンサルティングに従事後、コンサルティング会社で大手製造業の人材育成・組織開発や開発効率化を数多く手掛ける。また、この頃からコーチ・業界業務知識・現役管理職を側面から管理職向けの1on1支援サービスを展開し始める。

最年少で経営幹部になり、業績向上とマネージャー輩出に貢献。その後、ITベンチャー企業の役員を経て、INDEE Japanにてイノベーティブな組織への変革支援に従事。

また、スタートアップ企業の経営者や事業部長クラスを中心としたエグゼクティブコーチングを多数展開。人材・組織開発を支援する株式会社iBRIDGEを設立、現在に至る。

本インタビューの結論・サマリー

本インタビューの結論は以下の通りです。

  • 1on1は上司と部下の相互理解や業務支援によって確実に意味がある
  • 1on1に対して拙速な効果を期待するのは禁物
  • 「良い1on1」は、上司・部下の成熟度や企業の成長フェーズによって変わる
  • 「悪い1on1」は「部下のための時間になっていない」という共通項がある
  • 「良い」「悪い」の二項対立ではなく、上司/部下が着実に成長しているかを見る
  • 「悪い1on1」の対策は「上司が良い1on1」を受ける機会をつくることである

1on1は本当に効果があるのか?

―――星野さん、本日はお時間を頂きありがとうございます。早速ですが、1on1について、上手くいっている企業もある一方で、短期的な成果が見え辛い事に対して疑問を持つ方も一定数存在するというお声をよく聞きます。1on1は本当に効果があると言えるのでしょうか?

まず、そもそもコミュニケーションスキルという奥深い領域の施策にもかかわらず、効果を拙速に急ぎすぎという感覚を持ちます。

マネジャー研修やコミュニケーション研修など過去より多数行われてきましたが、しっかりとコミュニケーションできている人がどれほどいるか。

単にスキルだけではなく、マインドセットやその時の状態にも影響しますから簡単ではないです。私もその分野の研修などを行う一方でうまく振舞えてないシーンもありますから。(笑) 日々鍛錬ですよ。

あと、1on1をバズらせようとする風潮も成果を急がせる要因になっている気がします。

―――確かにバズワード化している印象はありますよね。

とはいえ、1on1はやはり大事だと思いますので、まずは、施策化していくことは大事なアプローチだと思います。鶏と卵の関係かもしれませんが、1on1を通して、まずは上司部下が強制的に高い頻度でコミュニケーションを取るようにするのは施策化の価値だとは思います。

そこに上司のコミュニケーションスキルや在り方の進化が伴い、効果に繋がってくると感じます。加えて、1on1自体が上手く働くように振り返りの仕掛けもあると良いですね。

―――何か良い1on1のイメージとかお持ちですか。

うまくいっている1on1も一つで定義するのは難しいでしょうね。

1on1を通して、部下の成長、そこに関わる過程の中で上司の成長も伴っていくという状態になることが良いかとは思います。また、部下の能力の引き出し方も様々です。

コーチング的な関わりで1on1して機能する場合もあります。一方で、ある時点では上司が指示型で部下が受身であっても部下が成長していて、企業の成長ステージ上問題なければ良い1on1と言えるのではないでしょうか。

「悪い1on1」はどの様な特徴があるのか?

―――会社の成長フェーズや1on1の成熟度に応じて「良い1on1」の定義も変わっていくべきという事ですね。確かに、「1on1とはかくあるべき」と硬直的な考え方をしてしまいがちですが、流動的に変えていって良いというお話は非常に納得感があります。一方で、「悪い1on1」とはどの様に定義出来るのでしょうか?

良い悪いという表現は難しいですが、目的が明確で、部下の意向を汲んでいると機能しやすいと思います。

―――1on1を「部下のための時間」と明確に位置付けるという事ですね。

部下がビジネスの相談をしたければそれの壁打ちを手伝います。普段仕事も近くてビジネス上の会話をしている二人であれば、1on1の場は関係性を深めるべくテーマも「雑談」とするのもありですね。

実際、私もそのようにやっていて相互理解が深まり、普段のビジネスでも良い影響を及ぼしたことも多数ありますので。

―――よく分かります。雑談を通じて、部下の行動や思考の背景となっている価値観や過去の経験を理解する事で、仕事の振り方やコミュニケーションの取り方をチューニング出来るという経験はマネージャーでは誰しもあるのではないかと思います。

一方で、特に上司側の意図・目的が不明瞭な雑談や、目的が不明瞭でただ仕事の話をしているというのは成長に繋がりにくいでしょうね。上司がただ言いたいことを言う場も成長には繋がりにくいです。

ですが、上司と部下が普段話す時間がない環境下でただの雑談や仕事の話をするのは十分に意味のあることです。したがって、あまり型に囚われて良し悪しを表現するのは適切ではないでしょう。

「悪い1on1」が発生する原因は何か?

―――「悪い1on1の特徴」は、主導権や主体が部下にない事に集約されているということですね。その様な「悪い1on1」はなぜ起こってしまうのでしょうか?

(笑)。悪いかどうかも何を比較して表現するかだと思いますよ。

上司側の知識・スキル不足はもちろん要因になります。ですが、ただ上司も前回の1on1よりも少しでも聴く時間が増えたりしていれば、それを悪い1on1というのはおかしいかなと。

部下が以前より少しでも成長していればOKですから、上司だって同じです。

まあ、そんな話はさておき、機能しづらい1o1の原因としては、おおよそ以下の様なパターンがあるのではないでしょうか。

  • 1on1そもそもの目的を理解できていない(特に上司)
  • 部下が成長したいと思っていない
  • 1on1各回の目的が不明瞭で進められている
  • 1on1各回の目的が上司のしたいことになっている
  • 上司の基本的なコミュニケーションスキルが低い
  • 部下の能力や業務課題や置かれている状況を踏まえたコミュニケーションスタイルを取れていない
  • 仕事の話でかつ解決策が緊急で必要な時に上司に業務経験・スキルが低くアイデア案が出てこない
  • 上司に部下の育成や成長を支援するというマインドセットや在り方に乏しい

「悪い1on1」を防止するためにはどの様な対策が必要か?

―――「上司も以前より少しずつ成長していればOK」という言葉は、1on1の運営に悩む管理職にとっては福音になるのではないでしょうか。最後になりますが、「悪い1on1」を防止するための対策について教えて頂けますか?

まずは上司が1on1受けることだと思っています。上司が良い1on1を受けていないのに部下に良い1on1はできないですから。

単なるコーチングではなくて業務の文脈も踏まえた上でのコーチング的な1on1でしょうか。実際、上司がやる1on1はそういうことですので。

―――確かにそもそも「良い1on1」がどういう対話なのかを、具体的に部下がどういう状態になってれば「良い1on1」と言えるのかについて、イメージ出来ていない場合もありそうですね。そういった場合は、星野さんとの1on1を体験して頂くのが良いのではないかと思いました(笑)。本日はお時間頂きありがとうございました。